呪われたサラリーマンの日記

40才を超えた過ぎたサラリーマンは何かと悩むお年頃なんです。

呪われたサラリーマンの日記 その13 OJT=On the Job Trainingを考える

私はプロセスエンジニアである。
私のエンジニアとしての座右の銘は『モノを見て仕事しろ』だ。

我々の仕事相手は人ではない。
我々の目先にあるのはモノだ。
だからモノを見て仕事しろという意味だ。
これは私が作った言葉なのか、誰かからの受け売りなのかは覚えていない。
ずっと昔からこれを信じて仕事に取り組んできた。
作った物、それを作る装置、作り方を徹底して自分の目で確かめ、より良い方法を模索しながら改善してきた。
如何にして高品質のものを作るか?作りやすくするか?不良を減らしてコストを減らすか?
これだけに特化してやってきた。
モノを見た人だけが真実を見ているのだ。
例え上司に何を言われようが気にならない。
それがどんなに偉い上司であっても気にならない。
真実を知っているエンジニアが一番正確な情報を握っているのだ。
会社の人間関係に悩む若手エンジニアにはこう言い聞かせ、面倒な柵を振りほどいている。

だが、一方では『事業は人なり』これを捩った『企業は人なり』等という立派な名言がある。
ものづくりは人づくり。
だから人材育成が重要だ。
その為のマネジメントスキルを身に付けろ。
『企業は人なり』を私の仕事で解釈するとこういう意味になる。
事業は人なり』も同じような意味と捉える場合が殆どだが
そうではない場合がある。
事業は人なり』が示す人はリーダーや社長等を指す場合がある。
この場合はリーダーシップ論に繋がる。

私は中間管理職=プレイングマネージャーでもある。
私の組織の中ではリーダー兼マネージャーだ。
しかし、それ以前にエンジニアだ。
リーダーシップやマネジメントスキルを振りかざし部下に指導するよりも
自分の技術を見せる事の方が大事だと思っている。
そうやって自分のスキルを曝け出す事で、部下は私が何者なのかを知る。
部下に無い技術が私にあれば部下は私の指導を素直に受け入れる。
こういった事をOJTの中で繰り返す事で信頼関係が生まれてくると信じている。

私の技術はたった一つしかない。
正しくモノを見る。真直ぐにモノを見る。
この『見る』ことだけだ。
生産装置のトラブルで不良が発生したケースを例に説明する。
正しくモノ見えるようになると、何がいつもと違うのかがわかる。
つまり、おかしいところがわかる。
直ぐに直す方法がわかる。
それだけではなく不良の根本的な原因が何なのかがわかる。
そして、どのようにして対策を打てばよいのかがわかる。
見る力を更に鍛錬する事でこの先に何が必要になるのかがわかるようになる。
これは、生産装置のトラブルにだけ通用する技術ではない。
新規プロセス、新規装置、作業性改善、品質向上など何にでも使える技術だ。
モノづくりの必須のスキルと言っても良いだろう。

日本のモノづくりのレベルは卓越している。
製品のスペックとして記載されている数値を遥かに凌駕したレベルで生産している。
その中で少しのばらつきがあったとしても製品スペックは絶対に超えないレベルで管理している。
我々エンジニアはこのばらつきを更に極小にしていく。
ばらつきの原因を追及し、様々な手を尽くして追い込んでいく。
そのためにモノを見るのだ。
こういった取り組みが次世代の製品を作るプロセスの礎になる。

書店にあるリーダーシップ論やマネジメント論では語りつくす事はできないOJT
OJTこそが技術の伝承と人づくりの真髄だと信じている。